そして投資信託に前向きになれる考え方
高度な金融サービス機能を持つ世界的なビジネスセンターとは、世界有数の大企業だけではなく、金融、法律、会計、経営、税務など多様なプロフェッショナルサービスを提供する企業の集積地を指す。
世界の有力企業が東京に集結することにより、新しいビジネスチャンスが創造されることがある。
『フォーチュン』誌の調査によると、世界売上高上位500社のうち、東京に本社を置く企業数は77社で、世界で最も多い。
ちなみに、2位がパリの47社、3位がニューヨークの37社、ロンドンの27社、5位の北京17社である。
最もわかりやすい効果はインフラが整備されることで、東京の利便性が向上し、日本全体の利便性を向上させることである。
例えば、東京が世界的なビジネスセンターであるが故に、世界の航空会社が順番待ちするほど成田空港に乗り入れの希望がある(エコノミークラスは航空会社にとって収益率が低い)。
そのため、東京中心の交通体系と相乗効果が生まれ、日本全体の交通の利便性を向上させている。
オフィスビルディング、会議場、通信網、ホテルなどの国際ビジネスに必要なインフラが整備される。
一方で、ロシアはGDPの規模が世界2位ではあるが、世界に通用するビジネスセンターが存在しない。
これでは、ロシア企業や国民のビジネスの利便性が向上しにくい。
GDPが世界9位のカナダ、8位のスペインも同様ではなかろうか。
ロンドン市が作成する国際金融センター指数は、最も著名な国際金融センターの評価基準となりつつある。
少なくとも我々の目指す国際金融センターの評価指標にはなり得ない。
指数の構成項目が我々の目標とする「日本経済の成長に寄与する国際金融センターを目指す」という目的にそぐわないからである。
ロンドンが前回の調査同様1位となった。
グローバルな金融センターであり、評価項目すべてにおいて高得点を獲得した。
特に、人材、規制、市場へのアクセスが評価されている。
2位のニューヨークは、人材、市場へのアクセスが特に評価された。
前回の調査では、ロンドンと9ポイント差に迫っていた2位のニューヨークは、今回の金融危機主な評価項目は、東京は、8位のシカゴ、9位のフランクフルトを抜き、前回の9位から7位へと、順位を上げた。
評価項目の順位を個別に見ていくと、人材とビジネス環境は10位以下、市場アクセスは7位、インフラは6位、競争力一般は8位である。
日本経済が比較的堅調であったことと、世界第2位の東京証券取引所の存在が評価された。
国際金融センター指標の調査では、人材とビジネス環境が大きなウェイトを占め、東京はそれらの項目で伸び悩んでいる。
特に、規制の多さ、複雑さ、人材不足などといったビジネス環境が整っていないことが低評価になった要因として挙げられる。
チューリッヒ、ジュネーブ、シンガポールは、地域の金融センターの役割は小さく、大小の金融機関の集積によって金融センターを形成している。
例えば、チューリッヒ、ジュネーブはプライベートバンキングと資産運用に特化した金融センターである。
シカゴは商品、通貨などの先物市場として特定の機能に特化した金融センターとなっている。
流通市場と投資銀行業務を増大させることが、国際金融センターになるための重要な条件であると考える。
その点、ニューヨークとロンドンの地位は他を圧倒する。
香港やシンガポールは、国内経済の規模が大きくないため、金融取引は小さいものの、国際的な金融取引を活発に行うオフショア型金融センターとして発達した。
近年、中国の証券取引は急成長しており、香港や上海が国際金融センターの候補として急浮上してきた。
ただし、シンガポールや香港が急成長しているのは事実であるが、流通市場、発行市場、資産運用のいずれも東京ほどの規模はない。
グローバルな都市間競争における東京の競争力強化は重要である。
特に、東京が欧州全体を後背地とするロンドンのように、アジアを後背地とする金融センターを目指すのであれば、アジアの主要都市との競争に打ち勝つことは重要である。
世界的なビジネスセンターと国際金融センターを両方備える都市は、世界でもニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポール、シカゴ、東京くらいしかない。
アジアにおいては、上海は世界的なビジネスセンターではあるが、国際金融センターではない。
ソウル、北京、台北は地域のビジネスセンターではあるが、世界的なビジネスセンターでも、国際金融センターではない。
世界の郊外人口上位100都市で、東京が1位となった(3568万人)。
国連によると、2025年も東京が郊外人口で世界1位を維持すると予想されている。
2位は、ニューヨーク(1904万人)、3位メキシコ(1903万人)、4位はムンバイ(1898万人)、5位はサンパウロ(1885万人)、6位はデリー(1593万人)、7位は上海(1499万人)、8位はコルカタ(1479万人)、9位はダッカ(1349万人)、10位はブエノスアイレス(1280万人)である。
高所得の人口が集積していることは意外に重要である。
ビジネスとは直接関係ないが、文化、スポーツ、芸術などでは、アジア、オセアニアなどと比較しても東京は優位にある。
野球の大リーグの開幕戦やサッカーのFIFAクラブワールドカップを東京で行うことはあっても、香港やシンガポールで行うことはない。
野球やサッカーの高額チケットが5万枚も売れることは、他のアジアの都市ではほとんどない。
これも都市の魅力を高める要素の一つである。
以上を総合すると、国際金融センターとして香港に勝つことは容易ではないが、アジアにおける世界的なビジネスセンターとして東京がグローバルな都市間競争に勝つことは十分可能である。
世界的なビジネスセンターとしては香港よりも上海が主たる競争相手となろうが、政治的安定性、治安、金融機能という面では、東京にかなりの優位があると考える。
政治的安定性、治安の優位はかなり長期にわたって持続すると思われるが、金融機能に関しては上海がかなりハイピッチでキャッチアップしてくると思われる。
だからこそ、東京の国際金融センターとしての機能強化が必要なのである。
規制緩和、金融工学の水準向上、英語教育改革、交通の便の向上、市場の利便性の向上、税制改革などは、金融・資本市場の国際化、国際金融センターの育成に、多少なりとも貢献することが期待される。
シンガポール、ジュネーブ、シカゴなどの規模の国際金融センターを目指すのであれば、これらが実現すれば十分かもしれない。
ニューヨーク、ロンドンと並び、かつ香港とアジアの金融センターの座を争うのであれば、以下の2点が本質論として重要なのではなかろうか。
国際金融センターの最も重要な条件は、後背地の経済力が大きいことである。
ニューヨークは米大陸、ロンドンは欧州、中東、香港は中国の金融センターである。
経済規模が大きければ、概ねそれに比例して資本市場は大きい。
香港が国際金融センターとして急成長しているのは、中国経済、企業の成長によるところが大きいと考えられる。
シンガポールが金融センターとして成長しつつあるのも、後背地である東南アジアの経済成長の好影響を受けているためと思われる。
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